なぜ「見落とし」が起きるのか
多くの中小企業では、「うちは大企業ほど狙われない」「クラウドサービスを使っているから安全」といった思い込みが根強くあります。
しかし実際には、人手不足や兼任体制による管理の抜け漏れ、委託先まかせの設定任せなど、日常業務の中で“見落とし”が蓄積し、攻撃者に狙われやすい状態になっていることが少なくありません。
セキュリティ対策は高額なシステム導入よりも、「見落とさない仕組みづくり」が本質です。
ここでは、特に中小企業でよく見られる10の見落としポイントを整理します。
見落としがちな情報セキュリティ対策10選
1. 管理者アカウントの共有
複数人で同じ「admin」アカウントを使うケースは非常に多く見られます。
誰が、いつ、どの設定を変更したのかが追えないため、改ざんや内部不正の温床になります。
→ 対策: アカウントは必ず個人単位で発行し、権限分離とログ監査を行うこと。
2. 退職者の権限削除漏れ
退職後も社内システムやクラウドにアクセスできるアカウントが残っている事例は少なくありません。
これにより、不正アクセスや情報持ち出しが起こるリスクがあります。
→ 対策: 人事・総務とIT部門で「退職時のアカウント棚卸し」をルール化する。
3. 委託先へのセキュリティ確認不足
システム開発やEC運用を外部委託している場合、委託先のセキュリティが自社の弱点になることがあります。
→ 対策: 契約前に「ISMSやプライバシーマークの有無」や「ガイドライン準拠状況」を確認。契約書に守秘義務・事故報告義務を明記しましょう。
4. 情報持ち出し制御の未設定
USBメモリや個人クラウドへの持ち出し制限を設けていない企業は、内部不正のリスクが高まります。
→ 対策: 端末のポリシー設定で外部媒体を制限し、必要時のみ申請制にする。
5. メール誤送信対策の欠如
添付ファイルの誤送信は、技術的には単純でも、信用失墜のダメージは甚大です。
→ 対策: 添付ファイル自動暗号化、上司確認機能、誤送信防止システムの導入を検討。
6. クラウドサービスの権限過多
便利なSaaSを導入しても、初期設定のままでは閲覧範囲が広すぎるケースがあります。
→ 対策: アクセス権限を最小限に設定し、定期的に利用者リストとログを確認。クラウドは「導入して終わり」ではなく「設定して始まり」です。
7. 社内教育の形骸化
年1回のeラーニングだけでは、社員の意識は定着しません。
実際のインシデント例や自社に近いケースを取り上げることで、学びが自分ごとになります。
→ 対策: 年次教育+ミニ研修を組み合わせ、「自分が被害者にも加害者にもなりうる」意識を育てる。
8. パスワード再利用・共用
同じパスワードを複数サービスで使い回していると、一つ漏れただけで全システムが危険に晒されます。
→ 対策: パスワードマネージャを導入する等の対策と二要素認証(MFA)を必ず有効化。
9. 脆弱性対応の遅延
「アップデートは時間がかかる」「不具合が怖い」と後回しにする企業は多いですが、
攻撃者は公開された脆弱性情報を狙って動いています。
→ 対策: 月次で更新日を設け、OS・アプリを計画的にアップデート。古い機器は代替計画を検討しましょう。
10. インシデント時の連絡経路不明
トラブル発生時、「誰に報告すればいいかわからない」という状態は、初動遅延を招きます。
→ 対策: 初動対応フローと連絡網を明文化し、掲示・配布して共有。緊急時に印刷資料としても参照できるようにしておくと効果的です。
対策は「完璧」より「継続」
セキュリティは一度整えたら終わりではありません。
「チェック→改善→教育→再点検」のサイクルを回し続けることが、最も確実な防御になります。
予算が限られていても、今日からできる無償の取り組みは多くあります。
“すぐにできることから始める”姿勢が、最終的に最も大きな成果を生みます。
「小さな対策が大きな損失を防ぐ」
情報漏洩や不正アクセスの多くは、「気づかないうちに」始まっています。
中小企業こそ、システム導入よりも「運用ルールの整備」と「社員の意識づくり」が最も効果的です。
レオセキュアテックでは、中小企業を対象にしたセキュリティ運用支援・教育プログラムの導入支援を行っています。
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