「セキュリティ対策を専門家に頼みたいが、いくらかかるのか、そもそもその金額で何をしてくれるのか分からない」――中小企業の経営者・担当者の方からよくいただく相談です。セキュリティコンサルティングは料金を公開している会社が少ないうえ、「コンサルティング一式」といった見積もりでは、金額とサービス内容の対応関係が見えません。
本記事では、セキュリティコンサルティングに依頼できる業務を分解し、「どの業務で、何をやってもらえて、いくらかかるのか」を一覧できる形で解説します。あわせて、大手コンサル会社との費用差と、中小企業が費用を抑えるポイントも紹介します。
セキュリティコンサルに依頼できる業務と費用相場【一覧表】
まず全体像です。セキュリティコンサルティングと呼ばれるサービスは、おおむね次の業務に分解できます。
| 業務 | 主な内容 | 費用目安 |
| 顧問契約(月額) | 月次の相談・対策の優先順位付け・トラブル時の相談窓口 | 月額5〜20万円程度(専任級は月額100万円以上) |
| リスク診断(現状把握) | 情報資産の洗い出し・リスク評価・改善ロードマップ策定 | 50〜150万円程度/回 |
| 規程・ポリシー整備 | セキュリティ基本方針・管理規程・対応手順書の作成 | 50〜150万円程度 |
| ISMS・Pマーク取得支援 | ギャップ分析〜文書整備〜審査対応まで | 50〜300万円程度(審査機関の費用は別途) |
| ツール導入・ベンダー選定支援 | 要件整理・製品比較・PoC評価・ベンダー交渉 | 数十万円〜 |
| 従業員教育・研修 | 全社研修・標的型メール訓練の設計と実施 | 数十万円〜200万円程度 |
| インシデント対応 | 感染・情報漏洩発生時の調査・復旧・再発防止 | 50〜200万円程度/件 |
※中小企業(従業員300名以下)を想定した一般的な目安です。企業規模・支援範囲・依頼先の体制によって変動します。
業務別:その費用で何をやってもらえるのか
一覧表の各業務について、「どんな課題があるときに、コンサルタントが具体的に何をするのか」を説明します。
顧問契約(月額5〜20万円程度)
こんなとき:社内にセキュリティの分かる人がいない。何から手を付けるべきか、この対策で十分なのか、相談できる相手がほしい。
コンサルが行うこと:
- 月次の定例相談(対面またはオンライン)で、課題の整理と対策の優先順位付けを行う
- ツール導入や委託先の見積もりに対するセカンドオピニオン
- 不審メール・ウイルス感染などトラブル発生時の初動相談
- 経営層への説明資料や取引先へのセキュリティ回答のサポート
費用目安:中小企業向けの軽量な顧問契約で月額5〜20万円程度。経営会議に参加する専任級(仮想CISO)では月額100〜300万円という水準もありますが、中小企業にそこまでの体制は通常不要です。
リスク診断・現状把握(50〜150万円程度/回)
こんなとき:自社のどこが弱いのか分からない。対策にお金をかける前に、まず現状を知りたい。
コンサルが行うこと:
- 守るべき情報資産(顧客情報・設計データ・アカウント等)の洗い出し
- 現状の管理状況の評価と、リスクの大きい箇所の特定
- 優先順位付きの改善ロードマップの提示
費用目安:中小企業で50〜150万円程度/回。範囲を主要システムに絞ればさらに抑えられます。診断報告書が「読んで終わり」にならないよう、実行順序まで示してくれる会社を選ぶことが重要です。
規程・ポリシー整備(50〜150万円程度)
こんなとき:セキュリティのルールが文書化されていない。取引先からポリシーの提出を求められた。
コンサルが行うこと:
- 情報セキュリティ基本方針・情報管理規程・インシデント対応手順書などの作成
- 自社の実態に合わせた運用ルールへの落とし込み(テンプレートの流用ではなく)
- 従業員への周知方法の設計
費用目安:規程類の点数と、認証取得を見据えるかどうかで変動します。自社でドラフトを作り、レビューのみ依頼すれば大きく抑えられます(後述)。
ISMS・Pマーク取得支援(50〜300万円程度+審査費用)
こんなとき:取引条件・入札要件として認証が必要になった。
コンサルが行うこと:
- 現状と認証基準のギャップ分析
- 必要文書の整備支援と内部監査のサポート
- 審査機関とのやり取り・審査当日の対応支援
費用目安:中小企業のISMS取得支援で50〜300万円程度。別途、審査機関への費用が必要です。取得までの期間はおおむね6か月〜1年半を見込みます。
ツール導入・ベンダー選定支援(数十万円〜)
こんなとき:セキュリティツールを入れろと言われたが、何をどれだけ入れればよいか、ベンダーの見積もりが適正なのかも判断できない。
コンサルが行うこと:
- 自社の環境・課題に基づく要件整理と対象システムの洗い出し
- 候補製品の比較と推奨ツールの選定
- PoC(試験導入)の進め方の設計と評価
- ベンダーとの価格・条件交渉の支援
費用目安:支援範囲によって数十万円〜。ツールの売り手ではない中立の立場で選定できることが、ベンダーに直接相談する場合との最大の違いです。
従業員教育・研修(数十万円〜200万円程度)
こんなとき:ルールを作っても社員が守らない。標的型メールへの耐性を付けたい。
コンサルが行うこと:
- 全社向け・役職者向けのセキュリティ研修の企画・実施
- 標的型攻撃メール訓練の設計・実施・結果分析
- 生成AI利用ルールなど、新しいテーマの社内教育
費用目安:研修の回数・受講者数・訓練の有無で変動します。単発の研修であれば数十万円から実施できます。
インシデント対応(50〜200万円程度/件)
こんなとき:ウイルス感染・不正アクセス・情報漏洩が実際に起きてしまった。
コンサルが行うこと:
- 被害範囲の調査・原因特定(フォレンジック調査)
- 復旧手順の提示と、取引先・関係機関への報告支援
- 再発防止策の立案
費用目安:調査範囲により50〜200万円程度/件。緊急対応は割増(日額10〜30万円)となる場合があります。顧問契約があれば初動相談が契約内でカバーされ、被害の拡大を抑えやすくなります。
大手コンサル会社に頼むといくらか――当社との費用比較
同じ業務でも、大手コンサル会社と小規模・専業の事務所では費用水準が大きく異なります。コンサル費用の大半は人件費であり、大手ファームのシニアクラスは1日40〜60万円、独立系・小規模事務所では同等の経験者でも1日8〜25万円程度が目安です。この単価差とチーム体制の差が、そのまま見積もり額の差になります。
当社(レオセキュアテック株式会社)の料金目安とあわせて比較すると、次のとおりです。
| 業務 | 大手コンサル会社の費用感 | 当社の料金目安 |
| 顧問契約 | 仮想CISO型で月額100〜300万円 | 月額7万円〜 |
| アカウント管理体制の整備 | 300万円程度 | 150万円(半年間の支援・実績) |
なぜ「月額100万円」と「月額7万円」でここまで差が出るのか
この表を見て「差がありすぎて、安いほうは怪しいのでは」と感じた方もいるはずです。当然の感覚だと思います。しかし、この差の正体は品質の差ではなく、「関与量と体制の差」です。中身を分解すると次のようになります。
- 関与時間:大手の仮想CISO型は週次で経営会議に参加し、常駐に近い形で関与します。月額数万円の顧問契約は、月次の定例相談+必要時の相談が基本です
- 体制:大手は複数名のチーム(シニア+スタッフ)で担当し、全員分の人件費が費用に乗ります。小規模事務所は経験者が1名ないしアシスタントの2名程度で直接担当します
- 成果物:大手は役員会や監査に耐える報告書一式を毎回作成します。小規模の顧問契約では、実行に必要な資料だけに絞ります
- 間接費:大手ファームの単価には、オフィス・管理部門・ブランド維持のコストが含まれます
- 中間マージン:経営層に対してセキュリティのリスクと対策の必要性を経営方針のレベルで説明できる人材は、業界全体で不足しています。そのため大手ファームであっても自社の人員だけでは体制を組みきれず、外部の専門会社や独立コンサルタントと連携してチームを構成するのが実情です。この場合、実際に手を動かす専門家の報酬に加えて、間に入る会社の管理費・マージンが費用に上乗せされます
つまり月額100万円超の契約は、「それだけの関与量と報告体制が必要な会社」のための価格です。月に数時間の専門家の関与で課題が前に進む会社が、チームと報告書の体制ごと買う必要はありません。同じ理屈で、当社の月額7万円〜という価格は「安かろう悪かろう」ではなく、専門家に直接依頼することで中間マージンが発生しない構造と、中小企業に必要な範囲だけを提供する設計によるものです。
実際、当社自身も大手ファームから専門人材として協力依頼を受けることがあります。大手に依頼した場合でも、実務を担うのは当社のような専門会社であるケースは珍しくありません。
月額100万円級の支援が必要な会社、月額数万円で足りる会社
では、自社にはどちらが必要なのか。判断の目安は次のとおりです。
大手級(月額100万円〜)を検討すべきケース
- 従業員が数百名以上・複数拠点で、全社的なガバナンス構築が必要
- 上場企業・上場準備中で、監査に耐える報告体制が求められる
- 金融・医療など、業界規制への対応が事業の前提になっている
月額数万円〜の顧問で足りるケース
- 従業員数名〜100名程度で、社内にセキュリティ専任者がいない
- まず基本的な対策を整え、判断に迷ったときに相談できる相手がほしい
- 取引先からのセキュリティ要求(チェックシート回答・規程提出)に対応したい
中小企業の大半は後者に当てはまります。「予算がないからあきらめる」でも「背伸びして大手に頼む」でもなく、自社に必要な関与量だけを買う。これが費用面でも効果面でも合理的な選択です。
事例:大手なら300万円程度の支援を、半年150万円で
実際に当社が支援したアカウント管理体制の整備では、現状の洗い出し、推奨ツールの選定、ベンダーとの交渉、導入までのロードマップ策定を、半年間・150万円でご提供しました。大手コンサル会社に依頼した場合は300万円程度に相当する内容で、およそ2分の1の費用です。差額の正体は前述のとおり体制と間接費であって、支援の中身ではありません。
中小企業がコンサル費用を抑える4つのポイント
1. 支援範囲を絞る
最初からすべてを任せず、リスクの大きい業務(例:アカウント管理、退職者のアクセス権)から着手する。上の一覧表の全業務を一度に頼む必要はありません。
2. 内製と併用する
規程類のドラフトは自社で作成し、専門家にはレビューだけを依頼するなど、「作業は自社、判断は専門家」と分担すれば外注工数を大きく減らせます。
3. スポットで始めて顧問に移行する
いきなり年間契約を結ばず、まず単発の相談や診断で相手の力量と相性を確認してから継続契約に進めば、失敗のリスクを抑えられます。
4. 見積もりの内訳と成果物を確認する
「コンサルティング一式」の見積もりは比較のしようがありません。本記事の一覧表のように業務単位に分解してもらい、何が納品され、どこからが追加費用なのかを確認してください。
まとめ:金額だけでなく「その費用で何をしてくれるか」で比較する
- セキュリティコンサルの費用は業務単位で分解でき、中小企業なら顧問契約は月額5〜20万円程度、単発の診断は数十万円〜が相場
- 大手と小規模事務所では人件費の構造が違い、同じ業務でも費用は2〜3倍以上変わる
- 見積もりは金額の大小ではなく、「どの業務で・何をやって・何が納品されるか」で比較する
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